進化しすぎた脳
糸井重里との共著『海馬』の著者、池谷裕二の『進化しすぎた脳』を読んだ。
サブタイトルに[中高生と語る「大脳生理学」の最前線]とある通り、中高校生を相手に脳の科学の最先端を説明した講義がベースになっている。このため、難しい話が非常に噛み砕いてあり大変分かり易い。しかも、『海馬』でも見られるユニークな言い回しや例えが豊富で、読んでいてとても面白く、脳と身体の不思議なメカニズムに驚かされる。如何に自分たちの体のことを知らないか、改めて気付かされると言った方が適切だろうか。
池谷氏は科学者でライターではないので、『海馬』では糸井重里が旨く話を引き出しているかと思ったが、決してそんなことはなかった。むしろ、この本では著者が自由に話を展開する中で、『海馬』では触れなかった、もっと突っ込んだ内容になっていて、そこが更に面白い。特に"脳"が"身体"をコントロールしているというより"身体"が"脳"の作りを支配するという、両者の関係が興味深い。昔から人工知能などに興味があったが、更に脳の世界を知りたくなった。
2ヵ月半ほど前、高校からの友達が「クモ膜下出血」で倒れ入院した。出血時の脳へのダメージから、様々な障害が発生し今も治療と懸命なリハビリを行っている。その為、脳の仕組みに関心がありこの本を読んだ。勿論、『海馬』が面白かったこともあるが、最初から専門書は難しくまずは基本的なことを知りたかった。
しかし、最前線過ぎて直接的にはあまり参考にならなかった。むしろ、脳に関する関心を高めてくれることになった。この本はあくまでも読み物だが、別の本でもう少し具体的な知識を知りたい。
友達のリハビリもこれからが本番なので、少しでも協力して早く社会復帰出来ることを祈っている。人間の持つ、脳と身体の可能性を信じて...
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