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2005.11.13

CRYSTAL VOYAGER

DVDで映画『CRYSTAL VOYAGER』を観た。

CRYSTAL VOYAGER映画『ビッグ・ウェンズデー』で水中カメラを担当した事で知られる、天才サーファーでカメラマンでもあるジョージ・グリノーを描いた1972年のドキュメンタリー映画。彼が、独自に考案したカメラを使って波と一体化した、当時としては画期的な映像の数々を見せる。特にクライマックスで描かれる、ピンク・フロイドの“ECHOES”とシンクロした23分間の映像は、サーフ版『2001年宇宙の旅』と言われている。実は、僕はこの一言だけで、この映画を観たくなった。

大半はジョージ・グリノーの人生観やサーフィン、海、そして自然への思いが語られながら、日々の生活が描かれている。彼のライフスタイルや彼が語る人生観は、今で言う「LOHAS」になるのだろうか。自然に溶け込むようにして、自分らしく生きている姿が羨ましい。

ラストの23分間はピンク・フロイドの“ECHOES”と共に突然始まる。曲の出だしのソナー音にも似た音に、水中から水面にカメラが上がり、やがて水が波となって縦横から視界を覆う。海と空だけだが、青、赤、緑、黄色、紫といった様々な色彩と二つとない形状が映像として作り出されるのは、とても神秘的だ。

実際にはわずか数秒のことだが、意識化では、永遠とも思える。
波の内側では時は停止するのだ。そこにある宇宙に吸い込まれたように。
唯一無二の現実は、次の瞬間に起こることだけだ。
-ジョージ・グリノー

超広角レンズ(魚眼レンズ)を使い、超スローモーションで撮影される波やチューブの中は、我々が通常目にすることが出来ない世界で、波がまるで生き物のようにうねって、この世のものとは思えない世界を描く。やがて、海と空とが一体になった夕暮れ時の映像で終わる。海と空の作り出す映像や色彩は、それだけで美しい。それらはとても言葉では表現しきれないからこそ、“ECHOES”という音楽がピッタリなのだろう。

スターゲート映像自体が『2001年宇宙の旅』のスターゲートのシーンを思わせるのは勿論、その映像に人生観を反映させたような、ある種哲学的なテーマも感じさせる。最後の静かな夕日も、スペースチャイルドのシーンとダブってくる。勿論、それらは意図されたものではないが、くしくも同時代に作られたこの2本の映画が、同じような気持ちを起こさせるのはきっと偶然ではないはず。時代が生み出した映画ではないだろうか。

うまく表現できないが、単なるドキュメンタリー映画でもサーフィン映画でもない、独自の世界観が映像で表現されていた。

残念なのは、少し古いフィルムなので映像がくすんでしまっていること。最近は大作のDVD化はデジタル・リマスター版が当たり前になってきたが、それらと比較すると全体的に発色が弱い。特にラストは「サイケ調の映像と世界観」と評されていたような、刺激的な色合いではなかった。本当は、鮮やかな映像を大きなスクリーンで堪能したかった。

しかし、それらを差し引いても(実写による)幻想的な映像とピンク・フロイドの“ECHOES”とのフィット感は見事としか言いようがない。『2001年宇宙の旅』の"二人のシュトラウス"(リヒャルト・シュトラウスとヨハン・シュトラウス)に、匹敵する一体感だった。

年末には彼の最新作『ドルフィン・グライド』がDVD化(2005/12/16発売予定)される。こちらは最新のディジタル技術を使って撮影、編集されているので美しい映像が見れるに違いない。(DVD特典のインタビューで一部の映像が見れる)イルカの視点と速度で撮られたこの映画も楽しみだ。

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コメント

TB THX!

ボクも最初に見たときは
なんでデジタル・リマスター版じゃないんだ?!
と思ったけど、くすみながらもフィルムの質感が
デジタルでは再現できない色味を出していて
逆に正解だったかも。

しかし彼なんでも作っちゃうのね。

noriさん、早速コメントどうもです。
ヨットを手作り(しかも組み立てるだけでない)してるのにはビックリしました。それと、特典映像のインタビューにある「タイヤ菜園」も目から鱗です。
フィルムの質感は僕も好きですが、やっぱりこの映画はサイケデリックな映像美を堪能したかったです。

本文とは関係ないですけど・・・(^-^;)

コメント&TBありがとうございます♪(*^-^)
もうやんカレー美味いっすよね~♪o(*^▽^*)o
そっか~、店長のニックネームなのか~。
何かでもあの店おもろいっすよね♪
店員アロハだったり、店の看板が「も」だったり(^-^;)
何かあの「も」見たとき、何故かすごいよマサルさんを思い出したし( ̄∇ ̄*)ゞ

絵の方も見てもらったみたいでありがとうございます!!
もしよければデザフェス来て下さい!!
ま、俺がどうこう言う前に、あれはホントに色んな人が出てて面白いですよ~♪(*^-^)
あ~るさん映画好きみたいですけど、映画の作品も沢山出展されてますよ!!

あ、そうそう。
それとプロフィールみさせてもらったんですけど、結構かぶってるところありましたよ(^-^;)
魔女の宅急便、ローマの休日、オードリー・ヘプバーン、EGO-WRAPPIN’、wyolica、原田郁子さんとか( ̄∇ ̄*)ゞ

toyoさん、コメントありがとうございます。
もうやんカレーは、日本人のためのカレー屋ですね。
元ボディビルダーの店主らしく、健康志向でコストパフォーマンスの良い日本人好みのカレーだと思います。
でも、あのハワイアンな雰囲気は、どういった意味なんですかね?なぞです。

デザフェス面白そうですね。
ちょっと予定がありますが、時間がとれれば行きますね。

プロフィール被ってましたか。
wyolicaは意外と知ってる人少ないんで、嬉しいです。
因みにEGO-WRAPPIN’チケット取れました?
僕はプレリザーブ取りそこないました。(-_-;)

では、また。

あ~るさん、コメントありがとううございました。
アジャンタのカレーにも是非トライしたいですが、今回の記事の映画にも惹かれました!

今後ともよろしくお願いします!

ぴーたんさん、ようこそ。
コメントありがとうございます。

この映画は僕も最近まで知らなかったけど、
noriさんのブログで読んで興味を持って見ました。
ご覧になったら、是非コメントしてくださいね。

また、よろしくお願いします。

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