蟲師
大友克洋監督の映画『蟲師』を観た。
大友克洋の作品と言うだけで観る人は多いはず。僕もそんな一人だ。しかも、実写作品は『ワールド・アパートメント・ホラー』(1991)以来16年ぶりとなる。今回は、小椋事務所の社長が自主制作映画『じゆうを我等に』を観てオファーを送り続けて実現したと言う。僕も、紀伊国屋ホールで『じゆうを我等に』を観た一人として感慨深いものがある。
100年程前の日本が舞台だが、日本各地のロケで撮られたことがこの作品の大きな魅力だ。日本人の原風景が至る所に取り込まれ、子供の頃見た水木しげるの漫画の世界を思い起こさせた。その世界で、オダギリジョーが演じる蟲師のギンコが日本中を旅している事に妙にリアリティがある。その時代、場所に自分がいるような錯覚に陥るほどで、見たはずのない日本のどこかの風景にシンクロしてしまう。日本をニュージーランドロケで撮った『どろろ』とは対照的だ。思わず日本人に生まれてよかったと思えてしまう。蟲と一緒に失われていく日本の自然を改めて思い出させてくれる、そんなファンタジー映画だった。ただ、ラストはよく意味が判らなかったけど・・・
アニメーション作品では、大友監督の描く完璧な絵コンテを忠実に実現している。本作でも完璧な絵コンテが描かれているそうだが、実写作品なので、ロケ地の状況やその場のタイミング、役者の演技、個性によって違う結果になる。実際にスタッフの意見などを取り入れて、ある程度自由な発想で進めたようだ。そんなファジーな要素が、逆に自然でよい結果に繋がったようだ。アニメーション作品とは違う魅力になっている。
原作漫画は映画を観終わってから読んだが、120分で完結する映画とは違い1話完結の連載作品なので、様々なキャラクタが登場して作り上げる世界観が面白く興味深い。まだ1巻しか読んでないので残りが楽しみ。
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