2006.08.30

王と鳥

映画『王と鳥』を観た。
王と鳥フランスのポール・グリモー監督が脚本家ジャック・プレヴェールと1947年から製作していたが数年立っても完成せず、痺れを切らしたプロデューサが勝手に『やぶにらみの暴君』(1952年)として公開した。これを後年、ポール・グリモー自身が版権を取得して改めて1979年に『王と鳥』として完成させたいわくつきの作品。
高畑勲、宮崎駿など多くのアニメーション作家に影響を与えたことでも知られている。そう言った縁もあり、今回、スタジオジブリの手によりデジタル・リマスター版として劇場公開されることになった。
僕も、学生時代に『やぶにらみの暴君』を観て、『長靴をはいた猫』や『ルパン三世 カリオストロの城』に通じるエピソードに随分驚いた記憶がある。アニメーションの動きの面白さというより、絵から出てくる登場人物や傲慢な王様のキャラクター、様々な仕掛けに満ちた城など、設定の面白さが際立っていた。
正確に『やぶにらみの暴君』を覚えていないので、この『王と鳥』の比較は出来ないが、随分啓蒙的な作品に仕上がっているように思う。数十年を経て、こうした作品を監督のオリジナル作品として再び観ることができるのは大変喜ばしいことだ。

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2006.07.30

ゲド戦記

映画『ゲド戦記』を観た。
ゲド戦記この夏話題の宮崎吾朗初監督のジブリアニメ。原作はアーシュラ・K・ル=グウィンの「ゲド戦記」シリーズだが、エンドロールには原案として宮崎駿の「シュナの旅」がクレジットされている。原作を読んでないし、「シュナの旅」も昔読んだだけなのでこれらの関係は不明。もしかすると、オリジナル色が強いかも。
ストーリーは省略するが、作品としては想定内だがイマイチだった。39歳の宮崎監督には少し荷が重かったようだ。
アレン、テルーそしてゲドの三人の主人公が、それぞれのドラマを展開する。誰が主役でもなく、群像劇でもないのでテーマとストーリーが噛み合っていない。しかし、「世界の均衡」という難しいテーマだっただけに、監督経験のない(建設コンサルタント、ジブリ美術館館長だったらしい)初監督としてはよく出来ていたと思う。今後に期待したい。
ところで、本作ではスタッフも随分刷新され若返ったようだ。スタジオジブリも1985年の設立以来、数々の優秀なアニメータを輩出してきたが、最近では「GONZO」や「STUDIO 4℃」など優秀なアニメーション・スタジオも増えてきた。スタジオジブリも、これからは若い宮崎監督とともにどのように変わっていくか今後を楽しみにしたい。

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2006.07.21

カーズ

映画『カーズ』を観た。
カーズピクサー最新作、本作より正式にディズニー映画となった。監督はアカデミー賞も受賞した『ファインディング・ニモ』や『Mr.インクレディブル』のジョン・ラセター。
ユニークで表情豊かな自動車の世界を、リアルなCGで表現しているのが面白い。車好きに言わせると、ライン取りなどが本物らしい。(僕にはそこまで判らないけど)
自動車を擬人化しているので、その世界観が受け入れられるか不安だったがそんな心配は必要なく、最初から最後まで楽しむことが出来た。むしろ、カーレースを観戦する観客が車たちで、飛び交う虫(蚊?)まで車だったのが妙に面白かった。

先日の『ブレイブ ストーリー』とは違うアニメーション映画で、米国と日本のアニメーションと言うより映画に対する考え方の違いを強く感じた。米国は映画=エンターテインメントだが日本は映画=ドラマとして描かれているように思う。どちらが良いかは分からないが、『ブレイブ ストーリー』を見た直後だと、『カーズ』は物語やテーマが単純でちょっと物足りなく感じられた。

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2006.07.15

ブレイブ ストーリー

映画『ブレイブ ストーリー』を観た。
ブレイブ ストーリーミステリー作家宮部みゆきの原作小説をフジテレビ、ワーナー・ブラザーズ映画、アニメーション製作会社GONZOが組んで作り上げたファンタジー物語。
「扉の向こうに行けば運命を変えられる、ひとつだけ願いが叶うんだ」主人公のワタルは両親が離婚し母親が病に倒れ生活が一変してしまう。そんな時、転校生のミツルから“運命を変える扉”のことを聞き、自分の運命を変えようと幻界(ヴィジョン)へと行く。そこでは様々な冒険がワタルを迎えていた。冒険を通して本当の"勇気"と"友情"そして"正義"を掴み取り、"運命"を受け入れる強い少年に成長していく。

子供向けの映画でRPGを思わせる設定とストーリーだったが、ストレートなメッセージに感動してラストでは思わず目頭が熱くなった。大人になっても"運命"を受け入れて乗り越えていくことは難しい。勇気を出して真実に立ち向かうワタルの姿は、そんな今の自分たちへのメッセージと思われた。
声優には数々の有名芸能人を起用しているが、ワタル役の松たか子やキ・キーマ役の大泉洋も思った以上にピッタリ。特にミツル役のウエンツ瑛士は浮いてないか気になっていたが全然そんなことなく、テレビとは違ってクールに演じていた。
映像的にも明るい色調の美術で娯楽作品としても十分楽しめるが、2D、3Dアニメとの合成技術や使い所が見事で、CGとは違うアニメーションの可能性を大いに高めている。日本の高度なアニメーション技術が如何なく発揮され、素晴らしい映像と娯楽性に富んだ感動作に仕上がっている。最近、宮崎アニメばかりが持てはやされるが、改めて日本のアニメーション技術と作品としての完成度の高さ、そして層の厚さを感じさせてくれた。GONZOの次回作が大いに楽しみだ。

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2005.05.05

スチームボーイ/メモリアルボックス

DVDで映画「スチームボーイ」を観た。CGとは違うフルデジタル映像としてのコンピュータとアニメの融合(セルアニメと違い無数の色が使える、中間色が見事にアニメートされている、幾重にも重ねられた映像 等)は、DVDで繰り返してみると改めてその素晴らしさに気付かされる。(月刊ASCII記事参照
映画館で観た時は、子供向けの作品には思えなかったけど、改めてDVDで観ると「科学と心と夢」「親子」「科学技術と戦争」といったテーマをこれからの50年を担う子供達に伝えようとしていることが伝わってきた。上映初日に渡辺繁プロデューサーは続編(「スチームガール」?)を宣言していたので期待して待とう!

Amazonで購入 / 通常版
オフィシャルサイト

2005.04.30

地球防衛家のヒトビト

知らなかった、朝日新聞の夕刊で、しりあがり寿が四コマ漫画を描いているなんて。しかも、2年前の2002年4月から連載して、すでに単行本まで出ていた。
 地球防衛家のヒトビト
Amazonで購入

2005.04.23

真夜中の弥次さん喜多さん

クドカンこと宮藤官九郎初監督の映画「真夜中の弥次さん喜多さん」を観た。しりあがり寿漫画が原作だけに、ぶっ飛んだストーリーであることは予想できたが、それ以上で正直着いて行けなかったところも...でも、漫画をよくあそこまで実写(CGが多いけど)にしたと思うと凄いことだ。長瀬智也 、中村七之助の体当たり演技に加え、意外なゲストも面白かった。でも、しりあがり寿が出ていたのは気が付かなかった。

2004.09.04

映画/マインド・ゲーム

ロビン西のコミック「MIND GAME」を映画化。
シュールでエネルギッシュだった原作とはまったく別物と言える作品になっていた。アニメならではの映像表現は期待以上で「こんな表現もあるんだ」って思えるシーンの連続で新鮮。でも、映画としては期待してた程面白くなかったのが残念。

2004.08.14

漫画/マインド・ゲーム

現在劇場アニメとして公開中"マインド・ゲーム"の、ロビン西・著の原作コミック。
映画化に際して絶版だった全3巻を1冊に纏めて復刊された。
ストーリーも画も勢いがあって、面白いし、恰好良い、久し振りにオリジナルの漫画らしい漫画を読んだ。
昔はこういった漫画を見逃すことはなかったが、今は全然ダメ。
STUDIO 4℃による映画も期待大だ!

2004.08.13

映画/スチームボーイ

大友克洋監督が企画から完成まで10年かけた新作アニメ。
宮崎アニメを思わせる冒険活劇映画だが、期待の方が大き過ぎた。
映像的にはアナログ・アニメの傑作といわれた"アキラ"に対して、本作では違和感のないデジタル処理が随所に盛り込まれたデジタル・アニメとしての完成度の高さを見せ付けられた。
学生時代からの自他とも認める大友克洋ファンとしては、新作が観れるだけでも嬉しい。スチームボーイ2も期待しています。